Side Tokyoに聞く日本の音声制作の世界

Published: 2024年5月31日

Side Tokyoに聞く日本の音声制作の世界

2023年の後半、Side Tokyoのオープンが発表されました。これは音声をグローバルに展開するサービスの中でも重要な意味を持つ事業拡張でした。30年前に名古屋で設立された親会社ポールトゥウィンホールディングスが持つ日本の伝統と、Sideが誇る世界レベルの音声の専門知識を結びつけ、Side の名前を東京に持ち込むという決断は、実に理にかなったものでした。

https://www.youtube.com/watch?v=0X0daWNcMOw&ab_channel=Side

しかし、Side Tokyoがこれほど特別な存在になっている理由、そしてゲームに高品質なオリジナル日本語音声制作を提供できている真の理由は何なのでしょうか? 音声&スピーチ技術担当SVPのOlivier Deslandesとスタジオヘッドの高尾博史からじっくりと話を聞き、その真相に迫りました。

東京に新スタジオを開設した理由はなんでしょうか?

Olivier:私たちはヨーロッパと北米にすでに拠点を持ち、このタイミングで我々の最大のクライアントの近くにスタジオを持つべきだと感じていました。Side は20年以上日本のIPに携わっており、日本のゲーム業界の中心にいたいと考えています。

Side Tokyoではどのような音声サービスを提供していますか?

高尾:Side は、出演者との交渉、キャスティング、ディレクティング、収録、ポストプロダクションなど、通常の音声制作サービスを提供しています。さらにゲーム向けのオリジナルの日本語セリフ収録に力を入れています。

Sideが他の音声プロバイダーと違う点、またSide Tokyoが優れている点を教えてください。

Olivier:他のSideの音声制作現場と同じく、Side Tokyoも「高品質なキャラクターパフォーマンスとオーダーメイドのサービス」という理念に基づいて発展を続けています。

高尾:設備ができるだけ多目的に利用できるように設計されていることも、私たちの存在感を高めてくれています。Side Tokyoでは広めのブースを用意し、グループレコーディングなどの様々な収録形態に対応できます。またサラウンドもあるのでダビングも可能です。

ゲームのVOの制作に関して、日本と欧米ではどのような違いがありますか?

高尾:日本では近年、アニメ・ゲームなどのメディアにおいて声優という職業が非常に注目されています。国民的な知名度を誇る声優もいらっしゃいますし、声優の数も年々増えています。そのため職業としての競争率が非常に高く、みなさん日々しのぎを削っています。

Olivier:日本はキャスティング、キャラクター設定、演技に対するアプローチが非常に特殊です。伝統を重んじながらも革新性が求められる市場です。私たちはさまざまな地域でこれまで培ってきた経験を生かし、専門的知識と選択肢をご提供しながら、クライアントに新しいアプローチをご提案することを目指しています。

キャスティングのプロセスについて詳しく教えてください。ゲームに合う俳優はどこで、どのように選ばれるのですか?アニメのキャスティングとの違いは何ですか?

高尾:クライアントのニーズに合わせて、さまざまなキャスティング方法で適切な声優を探します。キャスティング方法としては、データベースからキャスティングする方法、セルフテープオーディション、スタジオオーディションなどがあります。

データベースからキャスティングする場合、データベースに保存された既存の音声クリップを使用してオーディションが行われます。これにより、専用のオーディションセッションを行うことなく、俳優の声域と特定の役柄への適性を迅速に評価できます。

セルフテープオーディション方式では、ゲームに使われる実際の台本を俳優に渡し、セリフを読んでいるところを録音してもらいます。録音は、私たち(とクライアント)によって吟味され、俳優がその役に合っているかどうかが判断されます。

最後に、スタジオオーディション方式では、俳優をスタジオに招き、ボイスディレクターの指導のもと、台本を読んでもらいます。この場合、俳優の演技をリアルタイムで評価し、クライアントの意図に沿った演技になるよう即座にフィードバックを提供できます。

ゲーム、アニメ、配信コンテンツの収録にはどのような違いがあり、どのくらい影響が出ますか?

Olivier各コンテンツはプラットフォームやフォーマット、コンテンツの種類、さらには視聴者の種類によって歴史的に分断されてきたため、ビジネスモデルや予算、プロセスにおいてかなり異なってきました。そして企業はどちらかに特化する傾向がありました。しかし最終的にはストーリーとパフォーマンスという基本的な部分、そして質の高いコンテンツを提供するという最終目標は共通しており、似ています。私たちはこれらのすべての切り口で強い共通点があり、収束が起こっていると感じています。

高尾:映像作品(アニメ含む)は1話あたりの予算ありきで収録を行います。一方で、ゲーム収録のビジネスモデルは実際の作業量に応じて費用がかかっていきます。

プロセスの面でいうと、映像作品はグループレコーディングが一般的ですが、ゲーム収録は主に抜き録りで進めていきます。これはレギュラーという概念がないことが主な原因ですが、ワード数も関係しています。これによりスケジューリングや収録のプロセスに影響が出ます。グループレコーディングの良い点は、シナリオ頭から流れでレコーディングするためシナリオの理解度や、セリフのテンション感を合わせやすい点があります。個々の録音間で一貫性を維持するのが、ゲーム音声で神経を使う部分です。ボイスディレクターによる専門的な指導と、プロセス全体を通してアクティブなアセット管理ツールが必要になります。

日本のスタジオが、自社で収録を行わずに、Sideのような東京を拠点とするサービス・プロバイダーと仕事をしたいと思う場合、その理由にはどんなものがあるでしょうか?

高尾:そもそもそこまでインハウスで収録している比率は高くないような気がします。自社スタジオを持っている会社もありますが、すべての自社タイトルの収録を自社スタジオだけで賄うことは難しいでしょう。弊社と一緒に仕事をするメリットとしては、収録した日本語アセットをそのまま海外拠点に展開できるので、クライアントの手間は減るとは思います。

Sideが今後さらに成長していくために、Side Tokyoには何を期待していますか?

Olivier:Tokyoスタジオはその地位を確立するため、定評あるSide品質とサービスを確実にお届けすることを目指しています。ゆくゆくは、素晴らしいゲームやキャラクターパフォーマンスを制作するうえでの皆様のパートナーとなることが目標です。私たちの仕事ぶりを見てもらうことで、その素晴らしさが伝わると信じています。Sideのグローバルネットワークは、Side Tokyoによってより強固なものとなり、それがビジネス全体の成長とに貢献し、地域のパートナーに利益をもたらすことになるでしょう。

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