Vibe Avenueの買収から1年が経過しました。現在はSide Montrealの一部となり、既存および新規のパートナーシップにおいてチームが成長し発展したことを誇りに思います。このスタジオは、サウンドデザイン、音楽制作、そしてインテグレーションを、当社のゲームオーディオプロダクションサービス傘下で提供しています。
2013年設立の当スタジオは、ゲームや新しい視覚メディアのための音楽とサウンドデザインにおいて、12年以上にわたりイノベーションを続けてきました。このチームは、どのようにして今日の地位を築いたのでしょうか? 私たちは、スタジオの創設者であるFrançois-Xavier Dupas(音楽&サウンド・クリエイティブディレクター、リードコンポーザー)とMathieu Lavoie(音楽&サウンド・シニアディレクター、リードコンポーザー)に話を聞き、二人の経歴や、元のスタジオがどう設立されたのか、そしてSideに参加するに至った道のりについて伺いました。

Mathieu Lavoie(Mat)とFrançois-Xavier Dupas(FX)
Vibe AvenueがSide Montrealになる以前の、元々の発端について教えていただけますか? お二人のご経歴、また会社がどのように設立されたのかを教えてください。
FX: 私は、音楽院で音楽を学び、パリのソルボンヌ大学で学部課程を修了しました。しかし私は元々、科学者の家系の出身ということもあり、ミュージシャンになる前は実はゲーマーでした 。父がテクノロジーに夢中だったおかげで、いつも最新機器やゲーム機を買ってきていたので、それを試すのが私の楽しみでした。
音楽院での勉学を終えると、数年間ミュージシャンとしてツアーや作曲活動をしていました。その後、2009年にモントリオールに移り住み、そこでMathieuと出会ったんです。ケベックでの最初の仕事は、モントリオール大学でMathieuのTA(ティーチング・アシスタント)をすることでした! Matはカナダで、そしておそらく北米全体で初めて、ゲームサウンド制作に関する大学レベルの授業を行っていたのです。私は、コース用の映像のデジタル化とカリキュラムの構築を手伝いながら、映画音楽の修士号を取得し、その後、ゲーム用インタラクティブミュージックの作曲の博士号を取得しました。
Matと私の協力関係は、結局のところキャンパス内外で続きました。2013年1月1日に私たちは一緒にVibe Avenueを設立し、翌年には最初の従業員を雇用したのです。
Mat: 私の場合、ゲームを始めてからもう永遠に近い月日が流れたように感じます。最初に手にしたゲーム機は1980年代初頭のColeco Gemini、最初のPCはTandy 1000TXでした。私の最初の作曲の試みは、そのTandyで行われました。楽譜を紙に書く前にね。10代の頃、私は空き時間のほとんどをCakewalkでの作曲の自主トレに費やしました。そしてメタルバンドでジャムをし、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」をプレイし、『スター・トレック』を観て育ちました!
18歳の時、私はDee Brownと組んで初期のBeenox(訳注:カナダのゲーム会社)に参加しました。そして『Pillars of Garendall(訳注:Beenoxが開発を手がけたRPG)の全ての音楽と音響を担当し、いくつかのビジネス関連業務も引き受けました。そんな日々の中、モントリオール大学で博士号を取得しました。そこでFXと出会い、彼が言ったように、ゲームサウンド制作に関する授業を含む、たくさんの新しい授業を開設したんです。FXと私はすぐに親友になり、2013年にVibe Avenueを共同設立しました。同年、私はモントリオールのケベック大学で終身在職権を取得しました。Vibe Avenueは繁盛し、評判とチーム規模の両方において成長し、本当に楽しい時間を過ごしました!
私たちが最初に手がけたゲーム『Big Action Mega Fight!』は、Casual Connect USA(訳注:カジュアルゲームなどに特化した世界最大級のゲームカンファレンス)でベストゲームオーディオ賞を受賞し、私たちにさまざまなチャンスをもたらしてくれました。これは、最近『CONVERGENCE: A League of Legends Story』でも協力したDouble Stallion Gamesとのコラボレーションです。長年にわたり、私たちは『Star Trek™ 艦隊コマンド』や『Dungeons & Dragons: Dark Alliance』といった大規模なプロジェクトを完成させてきました。
その後2022年後半に、当時Sideのオーディオ担当シニアVPだった、素晴らしくフレンドリーなOlivier Deslandesと出会ったことが、転機となったわけです。2023年初頭にはLA、ロンドン、パリのSideのオーディオスタジオを訪れました。そこで会社の幹部チームのたくさんの人々と会い、私たちはまるで自分の家にいるかのように打ち解けられました。そして新たな高みに到達するため、この才能あふれる人々と手を組まなくてはと思ったんです。

Side Montrealはどのようなサービスと専門知識を提供していますか? こういったサービスの市場があることに、どうやって気づいたのですか?
Mat & FX: ゲームの全てのオーディオを一括して提供するという目的に基づくと、次の4つの面に分解できます:音楽、サウンドデザイン、インテグレーション、そしてボイスオーバー(VO)です。
私たちの目標は、こうした個々のサービスに加えて、専門チーム(サウンドデザインチーム、音楽チームなど)内でも、またそれぞれのチーム間でも、強い協力関係を持つスタジオにするということでした。私たちは、オーディオの世界を徹底的に極めたいと考え、インディーゲームの台頭期にVibeを設立しました。その時すでに、いくつかのインディーヒットゲーム(『Limbo』、『Super Meat Boy』、『Braid』、『Bastion』など)がリリースされており、モントリオールでは何かが盛り上がっているなと感じていたんです。大手スタジオは以前からありましたが、インディーズへの動きや新しいスタジオの設立も進んでいました。新参者である私たちにとって、そういう環境は成長するために理想的なものでした。
私たちのチームが時とともに成長し、音楽やサウンドデザインの具体的な注文を受けるようになるにつれ、各部門もより専門化してきたわけですが、それでも同じ理念を貫き続けてきました。すべてにおいて私たちが目指すものは、常に卓越した品質を達成することです。私たちは、インディーゲームやモバイルゲーム業界の中でも、Wwiseのようなミドルウェアを真っ先に使用し始めたスタジオです。音楽とサウンドデザインの両面で、インタラクティブな要素に大きな注意を払い、常に最高の品質を目指してきました。その卓越性の追求こそが、最初から私たちのあらゆる行動を真に導いてきてくれたのです。
こうしたサービスは時間とともにどのように成長しましたか? スタジオは、長年にわたってどう進化してきたのでしょうか?
Mat & FX: 当初私たちは非常にローカルな存在で、主にモントリオールを拠点とするスタジオと仕事をしていました。しかし、時がたつにつれて私たちの評判が高まり、さまざまなプロジェクトに関する電話やメールを、世界中から受けるようになりました。例えば、トルコのあるスタジオとは『Oddmar』というゲームで、アイルランドのスタジオとは『Star Trek™ 艦隊コマンド』で協力しました。ドイツや米国のパートナー(Wizards of the CoastやRiotなど)、そして最近では中国のパートナーとも協力しました。
要するに、私たちは必ずしもそういったチャンスを探していたわけではないんですが、評判が高まり、私たちの影響力が広がっていったのです。これにより、私たちはこの10年間で、たった2人のチームから現在約20人のチームにまで成長しました。
これまでを振り返ると、お2人にとっての重要なプロジェクトや節目は何でしたか? そしてなぜそれが重要だったのかも教えてください。
Mat & FX: 節目という話でいうと、いくつかのプロジェクトは重要なステップでした:
- 『Big Action Mega Fight!』: これは私たちの初めてのプロジェクトで、Casual Connectで賞を獲りました。とても大きな意味のある瞬間でしたね。
- 『Stories: The Path of Destinies』: 2016年にリリースされたこのゲームは、私たちにとって当時最も野心的なプロジェクトでした。RPGとして、物語を盛り上げるためにデザインされた大量の楽曲と複雑なインタラクティブミュージックシステムが含まれていました。このゲームはたくさんの賞賛を受け、2016年のMIGA(モントリオール・インディペンデント・ゲーム・フェスティバル)で最優秀オーディオデザイン賞を受賞しました。
- 『Star Trek™ 艦隊コマンド』: このような有名な作品に携わることは、私たちにとってまた一つの大きな節目となりました。有名なシリーズとコラボレーションするのは、私たちにとって初めてのことでしたから。Matにとって、この宇宙に携わることは子供の頃からの夢が叶ったようなものでした(Matは『スタートレック』のユニフォームを持っています!)。それに彼は、スタートレックに関わる音楽のすべてを熟知していました。
4. 『Dungeons & Dragons: Dark Alliance』: このプロジェクトは、大規模かつAAA級タイトルであったという点で、もう一つの重要な節目となりました。オーディオの方向性から、オーディオデザイン、ボイス収録のコーディネーションに至るまで、Sideは音声に関するあらゆる面を担当しています。このタイトルには3時間分の音楽が必要でした。これにはパンデミック中にモントリオールで録音された、1時間のオーケストラセッションも含まれます。このプロジェクトは、サウンドデザインと音楽の両方において多くのインタラクティブシステムを駆使した、まさに力作です。大のD&DファンであるMatにとって、これはまさに夢の実現でした。彼はR.A.サルバトーレの小説「Legend of Drizzt(ドリッズトの伝説)」に関する本をすべて読み返しつつ、作曲を進めました。
ゲームデベロッパーやクリエイターとのコラボレーションにおいて、どのようなアプローチでサウンドデザインや音楽制作がプロジェクトのビジョンとマッチするようにしていますか?
Mat & FX: 私たちは自分たちを、コラボレーションしているスタジオの正式なメンバーと考えて取り組んでいます。つまり、まさにプロジェクトの一員として直接作業するわけです。全てのサービスにおいて私たちは非常に緊密に協力し合い、自分たちで作曲した音楽を取り入れることもあります。
単に音楽を提供するだけの一般的なプロバイダーとは異なり、私たちは開発プロセスに深く関与していきます。このアプローチは私たちの仕事において不可欠なものです。このアプローチによって、ゲームを真に理解でき、最高の品質を届け、プレイヤーにとって没入感のある体験を創り出すことができます。私たちはゲームのメカニクスに適応し、適切なフィードバックを提供し、そしてゲームが求めるインタラクティブ性の原則を尊重しています。
ゲームのサウンドデザインと音楽制作は、他のメディアと何が異なりますか?
Mat & FX: ゲーム音楽とサウンドデザインが他のメディアと比べて特にユニークなのは、インタラクティブ性ですね。最終的なサウンドや音楽をリアルタイムで再現・再構成するためには、よりモジュール化された別のアプローチが本当に求められます。それ自体がひとつのアートです!例えばフォーリーサウンド(映画などにおける日常的な効果音)の場合、インタラクティブな効果音を録音する方法は映画用の録音と大きく異なります。インタラクション(相互作用)の可能性をより多く生むには、より近い距離から録音する必要があり、さまざまな要素を分離しなくてはなりません。
音楽も同じロジックに従っています。音楽のパートごとにエクスポートし、ゲーム内の変化などに応じて異なるバージョンやバリエーションを作成するのです。基本的に、音楽はクリエイティブプロセスの最初からほぼすべてのものに影響を与えます。
ゲーム、音楽、サウンドデザインにおける最近のテクノロジーの進歩で、おふたりの仕事のやり方に大きな影響を与えたものがあれば教えてください。
Mat & FX: ツールとテクノロジーで言えば、ゲームエンジンとオーディオツールに精通していることが大切です。長年にわたり、私たちが使用するツールは進化してきました。特にUnreal Engineのようなプラットフォームや拡張現実(AR)の発展は、大きな変化をもたらしています。また、触覚フィードバックのような新技術も出てきています。これは、 Season:A Letter to the Futureというゲームで広範囲に使用されています。
バーチャルリアリティも、ますます重要な役割を果たすようになってきました。過去数年間、私たちはTREBUCHETなどのゲームスタジオと共に、多くのVR制作に携わってきました。その点において、空間音響や没入型オーディオは重要な要素であり、それは音楽にも当てはまります。一般的に、ゲーム業界で働くには、映画などの他のメディアよりも深い技術的な専門知識が必要です。テクノロジーへの情熱、そしてそれらのツールを日常的に使いこなしながら、同時にその絶え間ない進化についていく、ある種のオタク気質が必要なのです。
Sideの一員となった今、「ストーリーを世界に届ける」という会社のミッションをチームがどのようにサポートできると考えていますか?
Mat & FX: サウンドと音楽が物語における重要な要素であることは、皆さんご存じのとおりです。 ジョージ・ルーカスはかつてスター・ウォーズについて、サウンドは「体験の50%を占める」と述べました。現在でもドゥニ・ヴィルヌーヴのような監督たちは、ストーリーテリングを強化するためにサウンドと音楽にますます注力しています。音は物語をより力強いものにしてくれるのです。
Vibe AvenueがSideのグローバルファミリーに加わって以来、私たちはSideのオーディオサービスを単なる吹き替えやローカライズ以上のものに拡大する という点をサポートしてきました。私たちの目標はグローバルなクリエイティブパートナーとして、ゲームプロジェクトのあらゆるニーズに応えられるようにすることです。例えばある主要なクライアントのケースでは、もはや単に音声を収録するだけではなく、それを直接ゲームに組み込んで編集なども行っています。以前は、Sideはゲームにサウンドを直接組み込むことはせず、収録サービスのみを提供していました。しかし、この新しいアプローチによって開発者との距離が縮まり、クライアントのニーズにより適切に応えられるようになり、パートナーシップを強化できています。
当初から私たちの理念は、単なる外部のサービス提供者としてではなく、仕事をいただくスタジオの一員として自分たちを位置づけることでした。私たちは常に不可欠なチームメンバーであることを目指しており、そのアプローチはSideの理念にもしっかりと反映されています。
