チームの紹介:Victoria Howard

Published: 2025年12月17日

チームの紹介:Victoria Howard

Victoria Howard は、約10年にわたりキャスティングと制作の現場で経験を積み、俳優エージェンシーから制作進行まで幅広く携わった後、キャスティングディレクターとしてのキャリアを確立しました。最初はテレビ、そして現在はビデオゲームの世界へ。現在では、Sideの一員としてAAAタイトルから高評価のインディー作品まで、数々のキャラクターに命を吹き込む役割を担っています。

今回はVictoriaに、ゲームキャスティングならではの特徴、規模の異なるプロジェクトへの取り組み方、そして「思い切ったチャレンジ」が理想のキャストを見つける鍵になる理由について話を聞きました。

 

これまでのキャリアについて教えてください。キャスティングの世界に入ったきっかけは? 

子供の頃からキャスティングの仕事に憧れていました。最初は俳優エージェンシーで数年間働き、キャスティングディレクターや俳優との仕事を通じて経験を積みました。

その後、制作進行としてプロダクションに携わり、正式にキャスティングの道へ。アシスタントから始め、少しずつキャスティングディレクターへとステップアップしました。

新しい案件に取り組むとき、最初に注目するポイントは? 

キャスティングを始めるときは、まずキャラクターや世界観、ストーリーの情報を確認します。設定によってどんな俳優が合うかが変わるため、こうした背景はとても重要です。

例えば、セッションで叫び声や激しい動きを伴う、声に大きなエネルギーを注ぐ必要があるシューターゲームと、複数の役を演じ分け、豊かなキャラクター性を持つ声を求められる全年齢向けの作品では、必要とされるスキルセットはまったく異なります。

最初に確認するのはキャラクターの年齢、性別、民族性です。これらは正確でリアルなキャスティングに欠かせません。そのうえで、声質や性格、個性を示すキーワードを探し、キャラクターを際立たせる要素を見極めます。

ゲームキャスティングについて業界外の人が誤解しがちなことは? 

「ゲームの声優は舞台俳優や映像俳優とは違う」という誤解です。実際はそうではありません。ゲームの俳優が声だけを担当するケースは、非常に稀です。モーションキャプチャを担当する俳優は舞台出身が多いですし、自然な演技が求められるストーリー重視のゲームではテレビや映画の経験者を起用します。

一方で、ゲームキャスティングはTVや映画とは違う自由度があります。俳優の見た目に左右されず声や演技だけで判断できるのです。50歳の女性が5歳の少女を演じたり、20代の男性が千年生きたトロルを演じることも可能です。もちろん、性別や民族性には配慮しますが、この自由度こそがゲームキャスティングの醍醐味です。

キャスティングの世界で成功するために必要なものとは?目立つためのスキルや資質はありますか? 

オフィスワークの枠を超えて積極的に動く姿勢が大切です。新しい舞台を観に行ったり、卒業公演をチェックしたり、ワークショップを開催して新しい俳優と出会うなど、常に俳優のデータベースを広げ、才能ある人材とつながり続ける努力が必要です。

そして、リスクを恐れないこと。私はいつも、最初のオーディション候補に「ワイルドカード」を入れるようにしています。新しい俳優や、異なる声質・演技スタイルを持つ人を提案することで、クライアントに新しい選択肢を示します。

キャスティングは非常にクリエイティブな仕事です。俳優の可能性を見抜き、時には枠にとらわれない発想をすることが何より必要です。

これまでさまざまなタイトルに携わってこられましたね。AAAタイトルとインディーゲームでは、どのようにアプローチを変えていますか? 

クライアントの予算やタイトルの規模に対するビジョンによってアプローチは異なります。AAAタイトルの場合、予算に余裕があるため有名俳優を起用できる場合もあります。その場合、作品のクリエイティブな要件とブランドの方向性、ファンの期待、さらに有名俳優のスケジュールをうまく調整する必要があります。

ただし、規模や予算に関係なく、すべてのゲームに対して同じように丁寧に取り組むことが重要です。開発者は何年もかけて世界を作り上げており、その世界に命を吹き込むのが私たちの役割だからです。だからこそ、常に最高の結果を目指しています。

Image credit: Bioware / Electronic Arts

これまで担当されたプロジェクトの中で、特に印象に残っているものはありますか?その理由を教えてください。 

ひとつには絞れません!『Clair Obscur: Expedition 33』は多くの人に愛されていて、私にとっても本当に特別な作品です。情熱的なチームと一緒に取り組めた素晴らしいプロジェクトでした。『ドラゴンエイジ: ヴェイルの守護者』も心に深く残っています。Sideでの最初のプロジェクトで、 Bryony Corrigan氏 と Alex Jordanを主要キャラクターに起用しました。さらに『ファイナルファンタジーXIV』やDisneyの『Tron』といった大作に関われたことも本当に幸運でした!今も、ワクワクするタイトルに取り組んでいて、リリースが待ちきれません。

正直、どのプロジェクトもそれぞれ違う理由で大好きです。難しい案件もありましたし、俳優が初めてゲームに挑戦する場面に立ち会えたこともありますし、テーマが個人的に強く響いた作品もありました。

Jennifer English in the booth at Side London

『Clair Obscur: Expedition 33』 はThe Game Awardsで記録的な受賞を果たしました。Jennifer English氏が最優秀パフォーマー賞を受賞したことも話題です。この作品では、経験豊富な俳優と新人俳優のバランスをどのように取ったのでしょうか? 

既存のゲーム業界の有名俳優だけに頼らず、ブース経験が少ない俳優も積極的に目を向けることが重要でした。

幸い、ディレクターのJoanna Greenが、新人をしっかり導いてくれると分かっていたので、私には役に最も合う俳優を見つけることに集中できました。オーディションや映像を見て、その俳優が特別なものを役に吹き込めると感じたら、経験に関係なくチャンスを与えるべきだと思っています。

のキャストが特別だと思う理由はそこにあります。 Ben Starr  や Jennifer English氏といったゲーム界のレジェンドを起用し、ファンが期待する演技を届ける一方で、新しい才能を紹介する機会も得られたこと。それは、私にとって非常に大切なことです。

Image credit: Sandfall Interactive / Kepler Interactive

これまで関わってきたプロジェクトの中で、キャラクターに命を吹き込むうえで特に難しかった部分はどんなところですか? 

難しいのは、要件が非常に具体的なのに候補者が少ない案件です。選択肢が限られる分、難しさはありますが、新しい才能を発掘できるのでやりがいも大きいです。

逆に、キャラクター情報が曖昧で、参考資料が多すぎて方向性が定まらない案件も難しいですね。こういう場合は、幅広い候補を提示して、あらゆる可能性をカバーするようにしています。多様な人材プールを提案することで、選択肢を網羅できるよう心がけています。
こうした案件は大変ですが、キャラクターに自分の色を加えられるので、一番楽しい部分でもあります。

キャスティングやゲーム業界に入りたい人へのアドバイスはありますか? 

キャスティングに関して最も重要なのはリサーチです。さまざまなキャスティングディレクターや彼らが担当する作品を調べ、シャドウイングや採用の可能性を探ってみましょう。最新のテレビ、映画、舞台作品を常にチェックし、俳優の知識を広げることも大切です。

多くの人は、制作やタレントエージェンシーからキャスティングの道に進みます。キャスティング職に応募してうまくいかない場合は、関連職種を検討してみるのも良いでしょう。もしかしたら、別の分野で新たに夢中になれるものを見つけられるかもしれません。

Quotes

「キャスティングは非常にクリエイティブな業界です。だからこそ、最も重要なスキルは俳優の可能性を見抜く力と、時には枠にとらわれない発想です。」

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