ゲームスタジオが成長するにつれて、次の作品をどのような体制で作るかということも重要になってきます。採用する人材、協業するパートナー、迎え入れる外部チームといったすべての要素が、プロジェクトだけでなく、スタジオそのもののあり方を決定づけることもあります。
では、どうすれば開発体制とチームの規模について正しい判断を下せるのでしょうか?
それはスピード、品質、柔軟性、長期的な開発主導権のどれを重視するのかによって決まります。一般的なゲーム開発モデルは5つあり、それぞれに長所と短所があります。どれが最適かを知るには、まず何を優先したいかを把握することから始めましょう。
- 人材採用では、社内に恒久的な開発体制を築きます。
- 内製では、外部の専門人材を既存のチームに組み込みます。
- 外部委託では、あらかじめ定義された業務範囲を外部パートナーに委託します。
- 共同開発では、外部チームを自社チームと並走させ、開発業務とその責任を双方で共有します。
- フル開発では、ゲーム開発の立案からリリースまでのすべてを外部パートナーに委託します。
ゲーム開発における外部委託は決して最後の手段ではなく、また人材採用が常に安全な選択肢とも限りません。適切なアプローチを選ぶうえで大切なのは、どれが最も優れているかではなく、目の前の課題に対してどの手法が最も適しているか、なのです。

人材採用:長期的な開発体制を構築する
特定のプロジェクトのために存在する役割もあれば、会社全体のために存在する役割もあります。複数のプロジェクトを統括するリーダーや、スタジオの長期的な目標達成に貢献する人材が必要な場合は、社内でその役割を確保すべきです。特定のタイトルをリリースするためではなく、会社全体を支える役割である基幹インフラ、管理部門、上級管理職についても同様です。
人材採用は、開発リソースを確保するうえで最も時間のかかる手法です。数週間以内に戦力となる人材を育成し、実務に参加してもらううえで、最適な方法とは言えません。しかし、プロジェクトの完了後も同じリソースを継続して活用できる唯一のモデルであるため、特定のタイトルだけでなく長期的にその人材を必要とする場合は、最適な選択肢となります。
社内チームを構築することで、長期的な開発体制と主導権の蓄積につながりますが、人員を増やすごとに給与以外にも採用活動、社内研修、ITや人事などの部門への継続的な負担といった間接費が発生します。外部パートナーに支払う費用と比較すると、社内の人材採用にかかる給与は一見安く見えるかもしれません。しかし、その計算には間接費が含まれておらず、採用に伴う組織的なリスクも考慮されていません。
内製:専門人材をチームに迎え入れる
内製とは、常勤の人員を増やすことなく、外部の専門人材を既存のチームに組み込む手法です。こうした人材は自社のパイプラインの中で、自社の開発プロセスに沿って業務を行うため、日々の業務において、自社のスタッフとほとんど変わらない働き方をします。
これは、開発期間における山場を一時的なリソース増強で乗り切るための方法です。この手法で配置される専門人材は大抵の場合、開発プロセスの一部の段階でのみ必要とされるリソースであることが多いです。具体的には、ゲームプレイプログラマー、システムプログラマー、テクニカルデザイナー、レベルデザイナー、このアプローチでは、必要な専門人材を必要な期間にのみ配置でき、繁忙期が過ぎた後までそのリソースを抱え続ける必要はありません。
しかし、内製を選んでも、無条件に開発リソースが増えるわけではありません。外部の専門人材に対しても指示が必要なため、日々のリーダーシップとプロジェクト管理は引き続き自社チームが担うことになります。リーダー陣がすでに多忙な状況にある場合、指示が必要な人員をさらに増やしても負担軽減とはならないためです。
では、SideのスペシャリストがFiraxisの独自エンジンを用いて、コンソールとPCの両方に対応したUI、入力システム、テクニカルアニメーションの開発に携わりました。Firaxisとの協力関係は『シヴィライゼーションVI』制作時に始まり、このスペシャリストは当時から開発体制に深く組み込まれていたため、外部の委託先というよりも、Firaxisの開発チームの一員に近い形で業務を行いました。
外部委託:特定の業務範囲を委ねる
外部委託とは、あらかじめ定義された業務範囲の遂行と納品を、外部のパートナーに委ねることです。委託側が要件を定め、パートナーはそれに基づいて成果物を納品します。
ゲーム開発の外部委託は、プロジェクトのクリティカルパスから外れた部分、つまり、技術要件に変更が少なく、成果物に具体性があり、評価基準が明確な業務において最も効果を発揮します。プラットフォーム移植プロジェクトの委託がその典型で、他にも仕様が厳密に定義されたツールの開発やアートパッケージの制作に適しています。こうした業務は作業範囲として切り分け可能で、何をもって「完了」とするかが明確であり、クリエイティブな試行錯誤を必要としません。
要件が明確な業務ほど、外部委託が適しています。移植プロジェクトには、新しいハードウェア上でゲームをスムーズに動作させるという、クリアすべき明確な基準があります。目標が定まっていて、そこに至るまでの道筋が十分に理解可能である場合、往々にして外部委託が最も効率の良い選択肢となります。
ただし、「コスト削減のために重要度の低い部分を外部委託する」という考え方には問題があります。外部委託はコスト削減ではなく、開発体制を増強させるために行われるべきものです。要件が明確な作業を確実に遂行してもらうことで、社内チームが自分たちにしか担えないゲーム開発の中核部分に専念できます。
共同開発:共に築き上げる
共同開発とは、外部チームを自社チームと並走させ、開発業務とその責任を双方で共有することです。
厳密に言えば、これも外部委託の一形態となります。しかし、外部委託があらかじめ定義された業務範囲を委託し、仕様どおりに制作された成果物を受け取るのに対し、共同開発では開発プロセスそのものを共有します。外部チームは、バージョン管理、品質保証プロセス、スプリント運営といった業務を、自社チームと同じパイプラインの中で行います。与えられた指示書に従って納品するのではなく、自社の担当者と日々の意思決定を共に担います。共同開発モデルがその真価を発揮するのは、最終成果物だけではなく、外部パートナーとの共同作業そのものです。
だからこそ共同開発は、他の要素との結びつきが強く、開発の途中で方向性が変わる可能性がある部分や、ゲームの中核をなす部分に適しています。具体的には、プレイヤー向けの機能、エンジン開発、継続的な最適化といった業務が該当します。こうした作業は複数の分野にまたがり、社内チームとの日々の打ち合わせや連携が求められます。開発が進む過程で変更が入る可能性が高い場合、最後に成果物を受け取るだけの関係よりも、開発プロセスの中で共に取り組んでくれるパートナーのほうが、はるかに高い価値を生みます。
また、共同開発モデルは計画的に準備すべきモデルであり、危機的な状況になってから頼るべきものではありません。よくある誤解に、共同開発モデルは火を噴いてしまったプロジェクトへの救済策であるという認識があります。しかし、緊急事態の最中に共同開発チームを組み込もうとすると、双方にとって大きな負担が生じます。外部チームは自分たちが引き起こしたわけではない問題を、まだ関係が十分に築かれていない段階で解決するよう求められることになるためです。共同開発モデルは、開発の初期段階から綿密な意図をもって選択し、その特性に適した業務に適用することで真価を発揮します。StatusPROが開発したNFLとNFLPAのVRタイトル『NFL Pro Era』において、Sideの共同開発チームはアニメーション、テクニカルアート、スタジアムと観客の制作、ゲームデザインなど多岐にわたる分野に携わり、指示された特定のアセットを提供するのではなく、ゲーム体験そのものを形作る一助となりました。
特化型チーム:小規模な共同開発
一方で、共同開発は必ずしも大規模な専任チームを必要とするわけではありません。ゲーム全体の特定領域ではなく、特定のシステムや課題に取り組むために編成された、分野特化型チーム(ポッド)でも同じモデルが機能します。
ポッドチームは、固定されたサービスパッケージではなく、プロジェクトが実際に必要とするものに合わせて編成されます。あるポッドはシングルプレイヤー向けの機能を担い、別のポッドはプラットフォーム移植やエンジンの特定領域を担うといったこともあるでしょう。チーム構成は課題に応じて変化します。
業務内容が変われば、ポッドチームも柔軟に調整可能です。例えば規模を拡大・縮小したり、焦点を絞り込んだり、複数のポッドを並行して運用したりできます。

特定のボスとの戦闘は、専門のチームが最初から最後まで一貫して請け負うことができるポッド型作業の好例です。『サイレントヒル2』リメイクでは、Sideの共同開発チームがBloober Teamと協力し、アニメーションやAIの挙動、レベルデザインに至るまで、重要なボス戦を丸ごと再構築しました。
フル開発:制作を丸ごと委ねる
フル開発では、開発全体を外部パートナーに委託します。ビジョンの策定とIPの保有は発注側が担い、パートナー企業が立案からリリースまでを担当します。コンセプトはあるものの、形にできるチームを持たない企業や組織向けの手法です。ゲーム業界以外のIP保有者(例:映画、テレビ、出版社など)が、自社の世界観をゲーム化したい場合などが当てはまります。社内リソースだけではリリースできなかった規模のタイトルを世に送り出せるようになり、自社の役割は日々の意思決定から、マイルストーンごとのレビュー・最終承認といった形に変わります。
ただし、このモデルを採用した場合、パートナー選びには大きな覚悟が求められます。制作全体を任せるということは、パートナーが組織に深く組み込まれるということであり、開発途中での変更は、限定的な外部委託の場合と比べてはるかに大きな混乱を招きます。そのため、企画書やIPに関する条件を綿密に準備することはもちろん、何よりも、ビジョンの実現を信頼して託せるパートナーを選定し、スタート地点をしっかり整えることが非常に重要となります。
最適なモデルは?
最適なモデルは、目標、スケジュール、予算、そしてすでにお持ちの専門知識によって異なります。以下に用意したいくつかの質問を参考に、どのモデルが適しているかを判断しましょう。
- 必要な期間はどのくらいですか? 恒常的に開発体制が必要な場合は社内採用が適していそうですが、一時的な対応が目的であれば、外部委託、内製、共同開発、フル開発が選択肢に上がります。
- 自社でどの程度のマネジメントが可能ですか? どのモデルを採用してもディレクションは必要となりますが、その度合いはモデルごとに異なります。自社が対応できる範囲をご確認ください。
- 会社とプロジェクト、どちらにとって必要なリソースですか? 会社の長期的な目標に貢献する役割は社内に置いておくべきですが、特定のプロジェクト限定の業務であれば、柔軟な選択が可能です。
- どの程度の運用リスクを許容できますか? また、どの程度のスピードが求められますか? 作業範囲を明確に区切って委託すれば、リスクは抑えられます。一方、常駐チームは迅速に動ける反面、立ち上げ段階では自社側により多くの関与や負担が求められます。
- 作業にはどのようなインフラが必要ですか? モデルによって環境構築の要件は異なり、単純なアセットのやりとりで済む場合もあれば、開発ツールやパイプラインにより深く組み込む必要があるケースもあります。
こうした事柄を検討していくと、大抵の場合、あるひとつの要素が特に重要なものとして浮上してきます。それは、制作過程をどの程度共有したいのか、という点です。日々の連携や共同での意思決定が増えるほど、単純な業務委託型では対応が難しくなり、共同開発に近い形が求められるようになります。作業が自己完結的で、その範囲を明確に定義できるものであれば、外部委託が適しています。
ひとつのモデルだけを採用するスタジオはほとんどなく、多くのスタジオがプロジェクトの段階に応じて複数のモデルを組み合わせています。典型的なケースでは、まず内製で専門的な人材を社内に配置し、協業関係が深まるにつれて共同開発へと発展させていきます。
まずは各モデルの仕組みと自社のニーズを照らし合わせてみてください。それによって進むべき方向が見えてくるでしょう。
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モデル |
期間 |
自社の関与度 |
最適なケース |
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人材採用 |
恒常的 |
高い(継続的) |
特定のプロジェクトの期間を超えて開発体制を必要とする |
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内製 |
一時的 |
高い(自社が指示・管理) |
一時的なスキルギャップを埋める必要がある |
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外部委託 |
決まった期間 |
低い(事前に定義) |
作業範囲が変動せず、大幅なクリエイティブ面の思考錯誤が発生しない |
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共同開発 |
開発フェーズ単位 |
共有(日常的に連携) |
他の領域との関連が強く、開発が進むにつれて作業内容が変化していく |
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フル開発 |
立案からリリースまで |
低い(マイルストーンごとの承認) |
IPを保有しているが、開発チームを持っていない |
スタジオにとって最適なモデルを選ぶ
スタジオを成長させるにあたって、唯一の正解モデルというものは存在しません。人材採用、内製、外部委託、共同開発、そしてフル開発は、それぞれ異なる問題を解決するアプローチであり、そのどれを用いるべきかは、ニーズの持続性、必要な連携の度合い、そして制作プロセスをどこまで外部と共有したいかによって決まります。
多くのスタジオはどれかひとつに頼るのではなく、複数の手法を組み合わせています。プロジェクトの段階に合わせて使い分け、開発の進行に応じて柔軟に活用するのです。
順調に成長していくスタジオは、それぞれのモデルの役割を正しく理解しています。だからこそ、その選択は惰性によるものではなく、明確な意図に基づいた戦略的なものとなるのです。
今後の事業拡大に向けてどのような選択を取るべきかお悩みの方は、プロジェクトが抱えるニーズについて、ぜひSideにご相談ください。

よくある質問
1. 人材採用、内製、外部委託はそれぞれどう違うのですか?
各モデルの違いは、どのくらいの期間その体制を維持するのか、成果物の責任や所有権を誰が持つのか、そして誰が開発を主導するのかの3点に集約されます。人材採用は、スタジオ内に恒久的な開発体制を構築します。内製は、外部の専門人材を一定期間、既存のチームに迎え入れ、自社の指示の下で作業させます。外部委託は、あらかじめ定義された業務範囲を外部パートナーに委ね、そのパートナーが納品責任を負ったうえで、仕様に沿った成果物を納品します。共同開発では、外部のチームが自社のチームと一体となって開発を進め、開発プロセスとその責任を双方で共有します。フル開発では、開発全体をパートナーに委ねることで、自社の関与はマイルストーンごとのレビュー・承認が中心となります。つまり、人材採用と内製は自社が指揮する開発リソースを増やす手法であるのに対し、外部委託、共同開発、フル開発は、パートナー企業により多くの責任と主導権を委ねていく形となります。
2. ゲーム開発の外部委託と共同開発はどう違うのですか?
外部チームが目指すものが異なります。外部委託では、パートナーは仕様に基づいて制作された成果物を提供するため、作業範囲と何をもって「完了」とするかがあらかじめ明確に定められています。共同開発では、パートナーは自社のプロジェクトの一員として開発に参加し、開発プロセスを共有しながら、プロジェクトの進展に応じて意思決定にも関与します。外部委託で得られるのが成果物である一方、共同開発で得られるのは自社チームと並走して開発を進めるパートナーチームそのものです。外部委託は、要件や作業範囲が明確に定まっている業務に適しています。一方、共同開発は、開発の途中で内容や方向性が変わっていく場合や、ゲームの核となる創造的な業務に適しています。
3. どのような場合に人材採用ではなく外部委託を選択すべきですか?
作業内容が明確で完結しており、プロジェクトのクリティカルパスから外れている場合は、外部委託を検討しましょう。他のプラットフォームへの移植、ツール開発、評価基準が明確な成果物単位の業務などがこれにあたります。一方、求められる役割が単一のプロジェクトではなく、会社の長期目標に貢献するものである場合は、人材採用が適しています。これを決定する要因がコストであってはいけません。コスト削減のために外部委託を行うスタジオが少なくありませんが、これは往々にして誤った考え方です。外部委託は、開発体制を増強し、要件が明確な作業を確実に遂行してもらうために行うべきです。そうすることで、社内チームが自分たちにしか担えないゲームの中核部分に専念できます。
4. ゲーム開発における共同開発とはどういうものですか?
共同開発とは、外部のチームがスタジオの社内チームと協力してゲーム開発の一部を担い、業務とその責任を共有するモデルです。外部チームはスタジオと同じパイプライン内で業務を行い、定められた仕様に基づいて納品するのではなく、社内スタッフと共に日々の意思決定に関与します。このモデルは、複数の分野にまたがる作業や、開発中に変更が生じる作業に適しています。例えば、プレイヤー向け機能、エンジン開発、最適化などです。
5. ポッド型共同開発モデルとはどういうものですか?
ポッド型共同開発モデルでは、特定の機能やシステム、課題に取り組むために編成された小規模な特化型チーム(ポッド)で共同開発が行われます。スタジオは、特定の領域を担う専門ポッドを導入し、ニーズの変化に応じてその規模を調整したり、複数のポッドを並行して運用したりできます。チーム構成は固定されたサービスパッケージに基づくのではなく、直面する課題に応じて柔軟に設計されます。