BAFTAでの受賞歴を持つ俳優であり、監督であり、ゲーム開発者であるAbubakar Salimは、ここ数年忙しい日々を送っています。
彼の姿を、Sky Oneのシリーズ『Jamestown』やHBO Maxのシリーズ『Raised by Wolves』、『House of the Dragon』などの評価の高いテレビシリーズで見かけたことがある方もいらっしゃるでしょう。また、彼の声を『アサシン クリード オリジンズ』に登場するシワのバエク役で耳にした方もいるかもしれません。この作品で彼はBritish Academy Games Awardにノミネートされ、BAFTA Breakthrough Britに選ばれました。また、彼がゲームスタジオのSurgent Studiosを設立し、昨年、デビュー作であるメトロイドヴァニア系タイトル『ザァオ:ケンゼラの物語』をリリースしたこともご存知でしょうか。この作品は、Game Beyond Entertainment部門でBAFTA賞に輝きました。
ゲームの発売1周年を迎えた今、私たちはSalimに『ザァオ:ケンゼラの物語』の成功に至るまでの旅路について伺いました。その中で、彼の家族の母語であるスワヒリ語でのフルボイス版を制作する決断に至った過程についてもお聞きしています。Sideの音声制作チームは、そのお手伝いができたことをうれしく思います
『ザァオ:ケンゼラの物語』の舞台裏
『ザァオ:ケンゼラの物語』は、若きシャーマンであるザァオが、死の神カルンガへの捧げ物として3体のモンスターの魂を捕らえる旅に出る物語を描いています。その見返りとして、カルンガはザァオの父を蘇らせることを約束します。
これがSalimにとって初めてのゲーム制作となり、それを完成させるまでの道のりはエモーショナルな旅となりました。その物語の多くは、父親を亡くしたSalim自身の悲しみからインスピレーションを受けています。Salimは、親の死やその他の深い喪失に限らず、それぞれの喪失感を乗り越える手助けとなるゲームを作りたいと考えました。そして、共有された経験を通じてつながりを感じられるようにしたいと考えました。Salim自身は、シリーズ『Raised By Wolves』の製作中にプレイしたメトロイドヴァニア系ゲーム『オリとくらやみの森』に影響を受けたそうです。迷子になった気持ちと再び道を見つけることについての物語を語りたいという気持ちに気付き、人生の悲しみや前進といったテーマに共鳴しました。
ゲームのデザインは、Salimや彼の父親の文化的背景を融合させたもので、伝統的なケニア音楽、バントゥー神話、アフロフューチャリズムの要素を取り入れています。また、史上初めてスワヒリ語のフルボイス版を実装したゲームでもあります。彼はゲームに本物の物語をもたらすためには、それが重要だと考えていました。Sideは、Abubakar Salimが『ザァオ:ケンゼラの物語』に本格的なスワヒリ語のボイスオーバーを導入するためのお手伝いをいたしました。その実現のために求められたものは何か、こちらの記事をご覧ください。

知るの限り、スワヒリ語フルボイスが実装されたゲームは『ザァオ:ケンゼラの物語』が初めてだそうですね?
Abubakar Salim:その通りです!その最初のタイトルとなれて光栄ですね!
このゲームで、全編がスワヒリ語のバージョンを制作することが重要だったのはなぜですか?
Abubakar Salim:私にとって、それは私が育った言語で真に迫るストーリーを語るということにつながっています。亡くなった父と深くつながることでもありますし、それはとても重要なことでした。
このゲームのキャストと台詞収録のオーセンティシティを保つことは、あなたにとって重要な要素でしたね。Sideやパートナーと一緒にスワヒリ語の声優をキャスティングしたプロセスについて、ご説明いただけますか?
Abubakar Salim:最初は私のいとこであるMaqbulをカルンガ役にキャスティングすることから始まったんです。このプロジェクトの目標を彼に話し、全面的に賛成してくれました。彼自身も俳優であり、本物の物語を伝える意図を理解していたからです。彼の助けを借りて、残りの役者をキャスティングすることができました。私が描きたいと思っていたスワヒリ語をしっかりと捉えるだけでなく、悲しみという繊細なテーマを描くためには、互いに気兼ねのないキャストメンバーと共にいることが重要でした。

Maqbul Mohammed
Quotes
「私が描きたいと思っていたスワヒリ語をしっかりと捉えるだけでなく、悲しみという繊細なテーマを描くためには、互いに気兼ねのないキャストメンバーと共にいることが重要でした。」
– Abubakar Salim
その過程で学んだことや直面した課題について教えていただけますか?スワヒリ語話者の声優が母語でゲームのキャラクターに声を当てるという体験は、どのようなものでしたか?
Abubakar Salim:まず第一に、前例がなかったということです!したがって、ナイロビで適切なスタジオを見つけることが重要でした。しかし、Sideの協力のおかげで、そのプロセスが大いに容易になりました。私が全く知らなかった専門分野が素晴らしいチームによってカバーされ、品質を担保することができたのです。役者とケニアのチーム全員が物語を気に入ってくれて、それを最高の形で届けることを目指していたことも助けになりました。

スワヒリ語キャストとキャラクター:
•ザァオとズベリッ: Neville Misati
• カルンガ: Maqbul Mohammed
• サブラナ: Amalie Chopetta
• ボマニ: Melvin Alusa
• リヤナ: Grace Nyokabi
• ママァ: Edith Ithongo’o
Sideでスワヒリ語ボイスを収録した際のご自身の体験はいかがでしたか?
Abubakar Salim:まるで現実味がありませんでした!自分の中で芝居を学びなおす必要があると感じましたね。最初のうちは全く自然体でいられませんでした。普段はあまり意識せずに話しているので、マイクを前にしたときには、歩き方を学びなおすような感じだったんです!
『ザァオ:ケンゼラの物語』は喪失のテーマを探求し、バントゥー神話とアフロフューチャリズムを取り入れています。ゲームにスワヒリ語フルボイス版を実装することで、スワヒリ語話者の間でゲーム開発が盛り上がるようになってほしいと思っていますか?
Abubakar Salim:もちろんです。このゲームはすでに多くの開発者に影響を与えています。それはスワヒリ語話者だけでなく、他の多くのアフリカ系言語話者にも、彼らの物語を語るきっかけとなっているのです。本当に、喜ばしく思います!
『ザァオ:ケンゼラの物語』は現在、Xbox、PlayStation、PC、Nintendoで配信中です。
専門的なキャスティングと音声収録から、高品質な音楽、サウンドデザイン、実装まで、Sideはゲームオーディオの完全なパイプラインとなって、皆さんのプロジェクトをお手伝いします。パートナーシップについてご検討の方は、ぜひお問い合わせください。