AIは、QAのための強力なツールとなり、ワークフローの効率化、バグ検出の自動化、そして迅速な納品を実現しています。
これらの効率性が私たちの作業をより迅速に進めるのに役立っている一方で、優れたQAには依然としてプレイヤー視点で考える能力、行間を読む力、そしてゲーム体験が洗練されているか、直感的であるか、プレイしていて楽しいかを判断するゲームセンスのような、人にしかない資質が求められます。
2025年のGame Quality ForumおよびXDSで行われた講演では、Kaley Hurst(当社の最高収益責任者)とKate Mitchell(当社のQAディレクター)が、優れたプレイヤー体験を生み出す鍵となるのは技術的に完璧なゲームだけではなく、AIの効率性と感情知能を持ったQAの専門家を戦略的に組み合わせたものであると語りました。
この変革でQAチームの働き方はすでに変わりつつあります。以下では、AI時代における品質保証の未来に向け、感情知能と協調性がいかに重要かを掘り下げています。
感情知能と感情指数とは何か?
QAテスターの仕事の中心はフィードバックを提供することです。昨今の品質保証とは、信頼関係を築き、方向性を左右し、開発チームに指針を示して、最高のゲームを作り上げることを意味します。コミュニケーションは単なる仕事の一部ではなく、任務というべきものなのです。ゲームで重大なバグを見つけても、報告したものをわかってくれる人がいなければ意味がありません。
ツールを使用してデータをより速く生成できる一方で、違いを生み出すのは解釈、共感、そしてトーンといった人が持つ資質です。つまり、テスターの本当の価値は、彼らが何を言うかでなく、どのように言うかにあるのです。
それには感情知能が求められます。以下のように定義される、現代のQAの専門家には不可欠なスキルです。
感情知能(EI)とは、自分自身の感情を理解し管理すると同時に、他人の感情を効果的に読み取り対応する能力です。
感情指数(EQ)とは、これらのスキルを実際の状況でどれだけうまく活用できるかを表します。
AIは多くの技術的なタスクをうまくこなしますが、これらの人が持つ感情的なスキルに関しては大きな欠陥があります。
協調性:品質保証の基盤
協調性とは、集団の一員として共通の目標に向かって働くこと(計画、調整、アイデアの共有)を意味します。
エージェント型AIは目標を設定してタスクをこなせますが、できることは訓練された範囲内に限られます。そのため協調性に関する能力には制限があるのです。AIは、人のようにコミュニティ関係を構築したり参加したりすることはできません。人の共同作業において大事な、お互いを思いやる気持ちや支えあう心、共有の意味を経験できないのです。AIは言語的に共感を模倣することはできますが、心から感じたり共感したりすることはできません。
真の協力には、行間を読むこと、言葉にされていない懸念を理解すること、そして時間をかけて信頼を築くことが必要です。しかし、人であっても感情知能やうまく協力する能力のようなスキルは、努力して向上させなければなりません。
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人の協調性を構築する
Sideでは、感情知能をQAの中核的な能力として扱っています。しかし、自己反省や共感、そして明確なコミュニケーションは、一度のトレーニングで教えることはできません。これらは継続的な実践と実際の課題に直面することで育まれるのです。
当社は以下のような方法でチーム全体の感情知能を育成しています。
「開かれた対話」を根付かせるためのグローバルQA研修
毎月、私たちは異なる地域のQAマネージャーとともに課題研修を開催しています。参加者が障壁や課題、支障となるものを提示し、協力して問題解決やピアコーチングを行うオープンセッションです。
チームからのフィードバックでは、マネージャーたちはリーダーシップ面の課題において助けになっていると感じるという結果を得られました。これらのセッションから、深刻な技術的問題はまれであることがわかりました。むしろ会話の中心にあったのは、コミュニケーションの崩壊や期待の不一致、対人関係の悪化のような人としての課題でした。
私たちは、この結果からスキルを向上させるアプローチを考えました。定められたトレーニングを待つのではなく、能動的にお互いを成長させようと考えたのです。テスターは、さまざまなコミュニケーション技術やフィードバック手法を学ぶために、より経験豊富な同僚に付き添います。チームメンバーは、難しい会話をどのように乗り越えたか、厳しいフィードバックをどう伝えたかを共有します。
このピア・ツー・ピア型のアプローチは、AIでの再現が難しい人間の洞察力、つまり状況を読み取る能力、異なるコミュニケーションスタイルに適応する能力、そして本物の関係を築く能力を確実に育成することができるのです。唯一のコストは時間ですが、一緒に働いている人と毎日練習するため、個別に研修を行うよりも効果的です。
興味深い点:人が持つ複雑さがゲームに必要な理由
Kateが参加した最近のゲームカンファレンスで、2体のAIボットが対戦する映像を見る機会がありました。デモンストレーションはAIのゲーム能力を披露することを目的としていましたが、結果は驚くほど冴えないものでした。
AIシステムはどちらも精密な動作を見せていました。AIは戦略的に最適な場所に移動し、最も効率的な経路を計算して、数学的に正確な動きを実行します。片方のボットが近づくと、もう片方のボットは即座にマップの反対側に退却し、合理的ではあるものの、ありきたりな膠着状態を生み出したのです。どちらのボットも勝利することはできませんでした。なぜなら、両方とも同じ指標に向けて最適化していたからです。AIは、魅力的なゲームであるはずのものを、機械的で効率を重視した退屈な作業に変えてしまいました。
このデモンストレーションはある1つのことを明らかにしました。AIはゲームプレイの技術的な側面を習得できる一方で、ゲームを面白くする要素を見逃すことが多い、という点です。
人のテスターはプレイヤー視点で考える
ゲームが技術的に完璧でも、プレイヤーを引き込めない場合があります。プレイヤーの視点からゲームを理解するには、コードの機能性を超えた洞察力が必要です。
- デザインと遊びやすさ:人のテスターは、機能が意図した通りに動作していても、違和感を覚えることがあります。彼らは、難易度の変化が急すぎる場合や、技術仕様を満たしているにもかかわらず操作を受け付けていないと感じる場合、また技術的には問題がなくてもゲームが退屈になるタイミングを特定することができます。
- プレイヤーの心理:QAの専門家は、機械的に考えずプレイヤー心の内を理解します。彼らは、プレイヤーが予想外のアプローチを試みたり、チュートリアルを無視したり、自分だけの目標を作り出したりすることを理解しているのです。技術的なバグだけでなく、会話の不自然さや、メカニクスが没入感を損なっている場面、全体的な体験が意図されているものと一致しない問題を特定してくれます。
AIを使えば確実にバグを正しく記録でき、ワークフローを効率化できますが、ゲームが楽しいかどうかを評価することはできません。私たちはそんな感覚を養うために人の無秩序さ、複雑さ、創造性、意外性を必要としています。それこそがプレイヤーがゲームにもたらすものだからです。

感情知能を持つゲームチームが未来を支える理由
AIは素晴らしいツールであり、それと協力できる時代に生きていることは幸運です。Sideでは、QAプロセスにおいて、エージェント型AIとLLMベースのAIの両方をどのように統合し、連携するかを積極的に模索しています。しかし、重要なのは協力関係です。
LLMベースのAIシステムは、人であれば処理に時間がかかるものでも、ほんのわずかな時間で膨大なデータを解析できる能力を持ち、技術的に完璧なゲームや製品を作成する私たちの能力を大幅に向上させています。しかし、これまでに述べた通り、技術的に完璧なだけでは十分ではありません。QAの最終的な目標は、最高のプレイヤー体験を確実なものにすることです。
だからこそ今日の品質保証チームでは、感情知能を育成し、感情指数を測定することが重要になってくるのです。プレイヤーを理解し、建設的にフィードバックを伝え、効果的にチーム間で協力する能力は、ゲームが魅力的なものになるか、あるいは退屈なものになるかを左右します。
これらを習得したQAの専門家こそが未来を支えてくれるのです。彼らはAIの技術的な力を活用しつつも、真に記憶に残るゲーム作りに必要な感情知能と判断力を持ち合わせています。