Caroline McDonaldは、 2025年にプレイヤーサポート部門グローバルディレクターとしてSideに入社しました。カスタマーエクスペリエンス、ゲーム運営、業界の大規模な変革を通じて15年以上の経験を持つCaroline は、EAやAriseでリーダーシップを発揮し、Warner BrosやUbisoftなどの大手開発会社やパブリッシャーをサポートしてきました。
Sideに入社してから1年が経ったことを記念して、Carolineにインタビューを行い、ゲーム業界への道のり、プレイヤーとのやり取りについての思い入れや、テクノロジーと人間による判断の関係性が進化し続けていること、そしてプレイヤーサポートの未来像について話を聞きました。

これまでの経歴や、ゲーム業界でのキャリアを選んだきっかけについて教えてください。
私はこれまでずっとカスタマーエクスペリエンスの分野に従事しており、最初はもっと昔からある業界や職種から出発しました。ですが2011年に、BioWareでStar Wars: The Old Republicのプレイヤーサポートができる機会が巡ってきたのです。
正直なところ、それまでゲーム業界に携わることはないと思っていました。というのも、私はゲーマーではないからです。子供の頃もこの業界に入ってからも何度も挑戦してみましたが、本当に下手なんです。
以前一緒に仕事をしたリーダーの何人かが、私にそのポジションへの応募を勧めてくれました。BioWareは面接で、チームが求めているのは、ゲームに関する知識と、優れたカスタマーエクスペリエンス(CX)の両方を兼ね備えた人材だと説明してくれました。彼らは私がゲーム業界で働いたことがないと知っていましたが、CXの経験は持っていたので、そこがこの業界に入る決め手になったのだと思います。
それ以来、私はさまざまな部門を率いる機会を得て、プレイヤーサポートのほぼすべての側面を学びました。私がこの業界で働き続けている理由は、常に変化し続けているからです。情熱にあふれ、創造性を発揮できる機会も豊富です。また、常に新しいテクノロジー、新しいプレイヤー行動、そして従来型のカスタマーエクスペリエンス(CX)よりもはるかに最先端のアプローチに携わることができます。
また、この仕事が常に進化し続けていることを本当にありがたいと感じています。今や複数のパブリッシャー様と連携し、さまざまなゲームや課題、そしてプレイヤーサポートに対する全く異なるアプローチを同時に経験できるんです。15年経った今でも常に学び続けられる。私がこの業界が好きな、大きな理由の1つはそこにあります。
Sideでのプレイヤーサポート部門ディレクターとしての役割と、主な担当領域について教えてください。
Sideにおける私の役割は、グローバルなプレイヤーサポート事業を統括することですが、現在では戦略策定とコンサルティング業務が大部分を占めています。
パブリッシャー様と直接連携し、先方のゲームとプレイヤーにとって、プレイヤーサポートが実際にどのようなものであるべきかを検討しています。それは、全く新しいサポートモデルの設計、既存の運用方法の改善、大規模なローンチの準備、あるいはAI、自動化、品質管理、知見、そしてさまざまなサポート窓口がどのように連携すべきかといったことまで、多岐にわたります。
時には明確な問題を相談されることもあれば、単に「これはもっと改善する必要があるのは分かっているのですが、あなたならどうしますか?」という相談から始まることもあります。私は後者の方が好きですね。サポートに関する従来の考え方に疑いを持ち、そのゲームやプレイヤーコミュニティにとって真に理にかなったものを設計する機会が得られるからです。
そして当然ながら、私たちが設計したものは、実用化する必要があります。私はパフォーマンス、能力、リーダーシップに関して世界中の運用チームと緊密に連携し、パートナー企業様と共に策定した戦略が、日々の業務で実際に機能するよう努めています。
人材面も私にとって非常に重要です。世界最高のモデルを設計できたとしても、最終的にそれを実用化するには優秀な人材と強力なリーダーシップが必要です。チームメンバーには、サポート対象のプレイヤーやゲームについて知り、自分たちの活動の目的を理解し、プレイヤーサポートを真にキャリアを築ける場所として認識してほしいと思っています。
あなたはFIFA、スター・ウォーズ、Madden、Need for Speedなど、ゲーム業界屈指の人気シリーズに携わってきました。こうした大規模なライブ環境を通じて、プレイヤーがサポートに期待するものについて、どのようなことを学びましたか?
私が学んだ最も重要なことは、ゲームがプレイヤーにとって非常に個人的なものになり得ること、そして、だからこそプレイヤーサポートに対する期待度も高くなるということだと思います。
プレイヤーの中には数百時間、あるいは数千時間も費やし、何年もかけてゲームを進め、真に価値のあるコンテンツを獲得し、ゲームをとおして友情やコミュニティを築いてきた人もいます。そこには計り知れないほどの思い入れが込められ、同時に多くのお金もかけられています。プレイヤーはゲームから得た経験を、サポートに期待する体験へとおのずと結びつけるのです。
サポート体験が期待に沿わないものだった場合、単に悪い印象を与えるだけでなく、はるかに広範囲に影響を及ぼす可能性があります。ゲームを心から愛しているプレイヤーが、最も助けを必要としている時に、そのゲームに対する感情を根本的に変えてしまうような体験を与えてしまうと、最悪の場合、ゲーム自体から完全に離れてしまうことにもなりかねません。
また、プレイヤーは必ずしもサポートを求めているわけではありません。彼らはゲームを再開させたいのです。ですから、スピードはもちろん重要ですが、的確さやそれにかける努力も同じくらい重要です。問題を理解していない、あるいは不必要な手順を踏ませるような、速すぎる対応は、かえってプレイヤー体験を悪化させる可能性があります。
だからこそ、すべてのやり取りを全く同じように扱うべきではないと私は考えています。比較的簡単な質問をしている人は、すぐに自動応答を受け取れることに喜ぶかもしれません。しかし、長年かけて育て上げてきたアカウントにアクセスできなくなった人は、全く異なる対応を必要としています。状況、問題の深刻度、そして連絡してきたプレイヤーの意図を理解することが重要なのです。
つまるところプレイヤーは、これまでゲームに注ぎ込んできたものを尊重してほしいのだと思います。大規模運営においては、プロセス、テクノロジー、自動化は絶対に必要ですが、規模が大きくなったからといって、プレイヤーに雑に扱われていると感じさせてはいけません。このバランスこそ、私がキャリアを通して常に心に留めてきた最も重要な教訓の一つです。
Quotes
「プレイヤーの中には数百時間、あるいは数千時間も費やし、何年もかけてゲームを進め、真に価値のあるコンテンツを獲得し、ゲームをとおして友情やコミュニティを築いてきた人もいます。そこには計り知れないほどの思い入れが込められ、同時に多くのお金もかけられています。プレイヤーはゲームから得た経験を、サポートに期待する体験へとおのずと結びつけるのです」
プレイヤーサポートチームとコミュニティチームは、プレイヤーから得た膨大な量のフィードバックと運用データにアクセスできます。スタジオは、これらの知見をどのように活用すれば、サポートだけでなく、より広い意味でのプレイヤー体験を向上させることができるでしょうか?
現状は、プレイヤーサポートとコミュニティにとって最高のチャンスかもしれないと考えています。私たちは膨大な量のプレイヤーの知見を持っていますが、これまでそれを知見として常に活用できていたわけではありません。
プレイヤーは毎日、何に苦労しているか、何が理解できないか、何にイライラしているか、何が好きか、そしてゲーム体験のどこに問題があるかを教えてくれます。多くの場合、サポートとコミュニティには、プライベートチャットやRedditのスレッド、Discordチャンネルなどをとおして、問題の芽が早期に現れます。
とはいえこれらは本来、それぞれ異なる目的で使用されていました。
- プレイヤーサポートからは、非常に直接的かつ具体的な知見が得られる傾向があります。「アカウントにアクセスできません」「コンテンツが消えてしまいました」「この機能が動作しません」「何が起こったのか分かりません」といった具合にです。
- コミュニティは、私たちにさまざまな視点があることを教えてくれます。「プレイヤーはこの変更に対して否定的な反応を見せています」「プレイヤーの心理が変化しています」「この議論が突然盛り上がりを見せています」「プレイヤーは私たちが導入したものを本当に気に入ってくれています」などの内容です。
どの視点も、それだけでは全体像を捉えることはできません。
だからこそ、サポートとコミュニティからの情報をつなぎ合わせる手法が、非常に強力だと考えています。これらは同じプレイヤー体験について、異なる視点から情報を集めていることになります。2方向からの情報を組み合わせ、ゲームデータや運用データと連携させることで、プレイヤーが何について問い合わせているのかだけでなく、実際にどのような体験をしているのか、その原因は何なのかを理解できるようになります。
これまでの私たちは、発生した問題の報告にも非常に長けていました。問い合わせの件数、最も多かった問い合わせ内容、顧客満足度(CSAT)、対応の速さなど、これらは実務上重要なことではあるものの、スタジオ側が何をしたらいいのかを、必ずしも明確に伝えるものではありません。
真の価値は、「なぜ」を問い始めるときに生まれます。なぜこの種の問い合わせが急に増えたのか? プレイヤーは何が不満なのか? 不満の原因はサポート体験そのものか。それとも、ゲーム内の何かか。ポリシーやプロセス、技術的な問題、あるいは単に、私たちが十分明確に伝えていない何かなのか?
テクノロジーとAIは、これまで不可能だった規模で「なぜ」を見つける、大きな機会を与えてくれます。私たちは膨大な量の、体系化されていないプレイヤーフィードバックを分析することができます。各種のプレイヤー窓口から寄せられた特徴を関連付け、そこにあるパターンをはるかに早い段階で特定できるのです。一見無関係に見える、10人の異なる担当者への10件の問い合わせが、実際には最終的に数千人のプレイヤーに影響を与えるような不具合につながっている可能性を、いち早く示唆してくれます。
また、サポート部門やコミュニティ部門から、正しいフィードバックをスタジオに届けるサイクルも必要です。「プレイヤーが伝えたいのはこの点です」「この点の重要度はこのくらいです」「原因はこの点にあると思われ、ゲームプレイ体験を改善する余地はこの点にあります」といった風に、連絡ができる仕組みです。
そして、同じくらい重要なのは、そのサイクルを完結させることです。ゲーム内で何かを変更したり、ポリシーを調整したり、コミュニケーションを改善したり、サポートの手順を変更したりした後、問い合わせ件数は減少したか。プレイヤー心理は改善したかなど、実際にユーザー体験が向上したかを確かめる必要があります。
プレイヤーサポートは今後、この点から進化していくと考えています。プレイヤーサポートは、問題が発生した時にプレイヤーが頼るだけの場所ではありませんし、コミュニティは、プレイヤー同士で交流するだけの場所ではありません。組み合わせることで、この2つはスタジオがプレイヤーから直接得ることができる、膨大な情報源となるのです。
重要なのは、これらのシグナルを結びつけてプレイヤーの考えを理解し、それがより広範な、プレイヤー体験全体にわたる意思決定に実際に影響を与えるようにすることです。
開発者やプレイヤーが抱いている、プレイヤーサポートに関するよくある誤解を一つだけ変えられるとしたら、それは何でしょうか?
おそらく、「プレイヤーサポートの主な役割は問い合わせに対応すること」という点でしょう。
私は15年間プレイヤーサポートに携わり、非常に大規模な環境でも仕事をしてきました。その中で学んだことの一つは、どうしてもキュー、つまり対応時の数字にばかり意識が向いてしまいがちだということです。問い合わせ件数は? 対応速度は? サポートレベルの基準値(SLA)を満たしているか? これらの数字はすべて重要ですが、真の目標ではありません。真の目標はプレイヤーなのです。
私にとって優れたプレイヤーサポートとは、プレイヤーを問題のない状態に戻すこと。つまり、パブリッシャーの価値観や理念に沿った体験をしてもらうことです。何らかの出来事によってプレイヤーのゲーム体験が中断されたり、ゲームとの関係が損なわれたりした場合、私たちの仕事は、何が起こったのかを把握し、体験を回復する適切な方法を見つけることです。
時には、単に不具合を修正するだけで済む場合もあります。一方では、事情をきちんと説明したり、消えたものを復元したり、プレイヤーがそのゲームに費やしてきたものの価値を認めたりもします。他にも、既定の手順にただ従うのではなく、より良い判断を下すこともあります。
私はこれまでのキャリアを通して、それがどれほど効果的かを目の当たりにしてきました。優れたサポート対応は、プレイヤーが心の底からストレスを感じている状況から、そのゲームへの気持ちを根本から変えることができます。つまりプレイヤーサポートとは、目の前の問い合わせをただ解決するだけではありません。プレイヤーのエンゲージメントを高め、ゲームタイトルとの関係を守るという役目を真摯に果たす仕事なのです。
問い合わせへの対応は、あくまでも手順に過ぎません。プレイヤーの不満を解消し、再びゲームを楽しんでもらえるようにすることが、最終的な目標です。
プレイヤーサポート業務が今日直面する、最大の課題と成長余地はどこにあると思いますか?
最大の課題は、プレイヤーが期待するサポートと、多くのサポート企業が提供できるものとのギャップが広がっていることだと考えています。
プレイヤーの期待は驚くほど速いスピードで変化しています。彼らは日常生活のあらゆる場面で、パーソナライズ、即時性、そしてますます高度化するテクノロジーを体験しています。当然ながら、そうした期待をゲームにも持ち込んでいます。しかし課題は、実務対応が同じスピードで成熟していくとは限らないことです。
私が最大の成長余地を見出している点はそこです。
テクノロジー、AI、そして自動化は、サポート体験を根本的に再設計する機会を与えてくれます。単に同じ問い合わせにより迅速に対応するだけでなく、そもそもなぜプレイヤーが私たちに連絡する必要があったのかを問い直すのです。「完全に排除できるものは何か?」「即座に解決できるものは何か?」「パーソナライズが求められる分野は?」「人間によるサポートが本当に価値を持つのは、どのような場面か?」。
「自動化できること」と、「自動化すべきこと」を混同しないようにすることが課題です。
プレイヤー体験としては、サポート担当者と一切やり取りしなくても、問題を即座に解決できることが最善な場合もあります。一方で、適切な判断や共感が求められたり、問題の背景にあるものや、思い入れを理解してくれる相手を必要としたりする場面もあります。
私にとっての成長余地とは、AIそのものではありません。テクノロジー、データ、そして人材を結集して、プレイヤー体験のギャップを埋め、優れたプレイヤーサポートとはどういうものかを根本から考え直すことにあるのです。

今後、Sideのプレイヤーサポート業務のサービスとチームが、どのような点で知名度を上げることを望みますか?
Sideが、プレイヤーサポートの可能性を広げる企業として知られてほしいと思っています。同時に、すべてのパブリッシャー様に通用する、1つの優れたプレイヤーサポートの形はないと認識している点も理解してほしいと思います。
パブリッシャー様はそれぞれに異なります。価値観やタイトルやプレイヤーコミュニティ、基盤となるプラットフォームやテクノロジーまでさまざまであり、ひいてはプレイヤーに体験してもらいたいものも異なります。
そこに、Sideが真に差別化できる点があると考えています。
私たちは30年以上にわたり、非常に多くのパブリッシャー様、ゲームタイトル、プレイヤーコミュニティと関わってきた経験があります。だからこそ、このような素晴らしい機会に恵まれています。業界全体ではさまざまな課題があり、そこへのアプローチとその成果について把握しています。しかし、私たちの役割は一つのモデルをあらゆる場所に適用することではありません。経験を活かし、各パートナー企業様が、それぞれのプレイヤーとビジネスにとって最適なアプローチを設計できるように支援する。それが私たちの役割です。
パブリッシャー様には、「こういうことを実現したいが、どのようにアプローチすれば良いか?」と相談できるパートナーとして見ていただき、解決策の設計から納品まで、信頼していただける存在になりたいと思っています。
そして私は、スタッフにもそうした姿勢を体現してほしいと思っています。自分たちが担当するゲームやプレイヤーへの理解を深めたいという好奇心と、柔軟さを持ちつつ、目の前の問い合わせに囚われず、自ら判断もできるような人材です。
最終的には、Sideが優れたサービスを提供するだけでなく、その背景にある考え方でも知られる会社になってもらいたいと思っています。各パブリッシャー様とそのプレイヤーの個性を理解し、それを真に反映したプレイヤーサポート体験の構築を支援する会社として認知されてほしいのです。