Sideのオーディオ&データセット担当グローバルディレクター、Chris Donnellyをご紹介

Published: 2026年4月1日

Sideのオーディオ&データセット担当グローバルディレクター、Chris Donnellyをご紹介

Chris Donnelly10年間Sideに在籍し、ゲームオーディオの分野で経験を積んできました。ボイス制作のパイプラインから音声技術の管理に至るまで、その複雑な領域を熟知しています。現在は Side の Global Director of Audio and Datasets として、ゲーム業界でも屈指の包括的なオーディオ制作チームを率いています。 

私たちは Chris に話を聞き、Sideのオーディオサービスが他と一線を画す理由や、ゲームにおけるボイスプロダクションの進化、そしてオーディオの完成度がプレイヤー体験を左右する重要な要素である理由について語ってもらいました。 

ご自身の経歴と、ゲーム業界のオーディオ制作に携わることになった経緯について教えてください。  

前職でちょうどリストラに遭ったタイミングに、まったく予想もしていなかった形でリクルーターから突然連絡を受けたです。その電話があるまでSideのことは全く知りませんでしたが、この機会に非常に興味を惹かれました。最初はプロダクションマネージャーとしてスタートし、社内で少しずつキャリアを積み重ねながら、気がつけば今に至る感じです。この立場にいられることを、心から誇りに思っています。 

Side におけるオーディオ&データセット担当ディレクターとしての役割について教えてください  

私たちが手がけるすべてのオ音声収録を統括しています。対象はビデオゲーム向けの制作全般で、Sideが所有・運営するすべての拠点にまたがっています。これには、テクノロジー分野の企業向けに行っているデータセット(スピーチセット)制作の統括に加え、サウンドデザインおよび音楽制作も担当しています。 

また、これらのプロジェクトにおける最終的なエスカレーション先でもあります。チームのマネジメントを行い、クライアントとハイレベルな協議を重ねながら、特にイレギュラーなケースについては最適な対応方法を検討し、常に品質基準を維持することを担っています。 

あなたはSideで様々な役割を担ってきましたね。業界全体の変化とともに、Side のオーディオサービスはこれまでどのように進化してきましたか?  

Sideの進化、特にその拡大には目を見張るものがあります。30年以上前にロンドンの拠点からスタートした当社は、当時は今よりはるかに小規模でしたが、現在ではロサンゼルス、モントリオール、パリ、東京、上海を含む6つのオーディオ拠点を展開するまでに成長しました。  

また、収録パートナーのネットワークも、当初の5~6言語から拡大し、現在では世界中で 85社以上のパートナーと協業する体制へと成長しました。収録を行う地域の広がりという点でも大きな成長がありましたし、収録ボリュームも飛躍的に増加しています。これまで本当にさまざまな素晴らしいプロジェクトに携わり、魅力的なクライアントの皆さまとご一緒する機会に恵まれてきました。 

スタジオやパートナーが拡大するのに伴い、私たちのチームも成長してきました。私は、ジュニアポジションで入社し、その後シニアポジションへとステップアップしていったメンバーを、これまで数多く見てきました。たとえば Simonne Stoneleyですね。彼女はプロダクションマネージャーとしてキャリアをスタートし、シニアPM、リードPM へとステップアップした後、現在はロンドンにある私たちのチーム全体を統括するプロダクション責任者を務めています。メンバーがスキルを身につけ、チームと共に成長していく姿を見るのはとても喜ばしいことです。 

業界全体で見ると、私たちのサービスを利用できるクライアントや開発会社の層が、さまざまな国へと広がってきました。特にアジア地域でその広がりが顕著です。その足場を築くことは極めて重要でした。個人的には、ゲームにおける多様性が広がってきている点をとても楽しんでいます。女性が主役を務めるキャラクターの割合は、以前と比べて大きく増えています。こうしたタイトルに登場するキャラクターたちは、アクセントやバックグラウンド、出身国も実に多様で、その豊かさには本当に驚かされます。  

一体感のある企業文化を保ちながら、どのようにしてグローバルなオーディオチームを構築しているのでしょうか?そして、それらのチーム全体でどのように品質を維持しているのでしょうか?  

一体感のある企業文化を築くという点では、新たに加わる拠点を、Side創業当初から大切にしてきた文化にしっかりと溶け込ませるよう努めてきました。私は常に、できる限り人の役に立つ姿勢を大切にし、思いやりのある文化を促しつつ、何か問題があったときに「誰に相談すればよいのか」が分かる環境を整えることを心がけています。プロジェクトは予想外に困難になることもありますし、ミスが起きることもあります。物事をうまく進めるために、最善の方法を一緒に考えるべく、気軽に私たちに相談できることが重要だと思っています。誰にも、相談したら厳しく批判されるのではないか、と思ったり感じたりしてほしくはありません。要は、人が安心してそうした話し合いができるような環境をつくることが大切なのです。  

そして、楽しむことも大切です。私たちは決して堅苦しいだけの会社ではなくて、実はかなりお茶目な一面もあります。たとえば毎年、クリスマス休暇前にオフィスへ出社する最後の日には、ユニコーンの着ぐるみ(ワンジー)を着るんです。1年目にやってみたのですが、それ以来毎年続けています。今では、みんなに期待される恒例行事ですね。PM を務めていた頃から、人はリラックスして、少しふざけてもいいんだということを示すのが大切だと感じていましたし、リーダーとなった今もその考えは変わりません。 

品質を維持するためには、明確なワークフローを整備し、トレーニングや指針を用意すること、そして適切な専門性を持つ人材がチームを監督する体制を確保することが重要だと考えています。ただ、繰り返しになりますが、質問をしたり懸念点を挙げたりすることに対して、人が安心して声を上げられる環境をつくることが何より大切だと思います。高い基準を保つことは重要ですが、人は「恥をかかされるのではないか」という不安なく成長し、学べる必要があります。それこそが、品質を維持するうえで非常に重要な要素だと考えています。 

開発会社と外部のオーディオスタジオとの間で、成功するパートナーシップを築くうえで何が重要だとお考えですか? 

成功するパートナーシップは、透明性とコミュニケーションの上に成り立っています。開発側としては、できる限り詳細な情報を共有したいものですし、アウトソーサーである私たちとしては、クライアントのチームと可能な限り一体となって仕事を進めることを目指しています。  

たとえば、事前に台本のサンプルを共有してもらえれば、懸念点を早い段階で把握し、それに対処するためのサポートが可能になります。キャラクターのバイオ(設定/プロフィール)の質も重要です。主要キャラクターだけでなく、脇役にあたるキャラクターについても同様です。クライアントは私たちに業務をアウトソースしているため、社内チームがこの分野についてあまり経験を持っていないケースも少なくありません。私たちにとっては日常的なことでも、クライアントにとってはまったく初めてという場合があります。だからこそ、できるだけ早い段階で情報を共有してもらえれば、それだけ的確なアドバイスができるのです。 

Sideで働くことの一番の魅力は、チームで協力しながら課題を解決していける点です。クライアント側に懸念点があったり、達成したい具体的な目標がある場合には、それについて一緒に議論しながら詰めていくことができます。  

その良い例が、私たちが手がけた『Battlefield』シリーズのタイトルです。開発側は、よりリアルな兵士の集団音を求めていました。そこで私たちは、サウンドステージに俳優を集め、砂袋を担がせることで、実際に体に負荷がかかった状態の息遣いや動作音を収録しました。その取り組みは非常にうまくいき、チームでの共同ブレインストーミングから生まれた成果でした。  

また、舞台裏コンテンツに関するコンサルティングや、俳優へのディレクション、さらにはシーンに応じたマイクの選定といったハードウェア面についてもアドバイスを行っています。たとえば、セリフ用と内面の独白用で異なるマイクを使い分けることで、それぞれに違った音のニュアンスを出すといった判断も有効です。クライアントの目標を実現するために、どのアプローチが最適かを一緒に話し合うこと——それこそが何より重要だと考えています。

Quotes

「成功するパートナーシップは、透明性とコミュニケーションを土台に築かれるものです。開発側としては、できる限り詳細な情報を共有したいものですし、アウトソーサーである私たちは、クライアントのチームと可能な限り一体となって仕事を進めることを目指しています」 

Chris Donnelly、Sideオーディオ&データセット担当ディレクタ

2026年のオーディオおよび音声テクノロジーにおいて、どのような最大の機会があるとお考えですか?  

私たちは、最新のテクノロジーがもたらす可能性に常に目を向け、それが私たちの仕事をどのように補完できるのかを見極めています。私たちは常に、品質を最優先に考えています。 

私たちにとって特に注目している分野が2つあり、ひとつは音楽制作、もうひとつはサウンドデザインです。これらの分野では、新たなクライアントとの出会いや、素晴らしいタイトルに携わる機会が次々と生まれています。 

ボイスプロダクションの分野においても、求められる多様性や、対応するロケーションの幅が広がってきていると感じています。これまで十分に取り上げられてこなかったアフリカや南米といった地域にも、私たちは積極的に取り組みを広げています。  

また、特にアジアを中心に、新たな開発の波が継続的に生まれています。私たちは、アジアのクライアントや、アジア主導で開発されるゲームに携わる機会が、ますます増えています。それは、業界全体として顕著に表れている大きなトレンドだと感じています。 

成長とイノベーションを続ける中で、Sideのオーディオチームに対してどのようなビジョンを描いていますか? 

私たちのビジョンは、これからもイノベーションを続けていくことです。私たちは、プロセスやサービス品質をさらに向上させるために、自社技術の開発を継続しています。これはチームの業務効率を高めるためでもあり、同時に、タレントから可能な限り最高のパフォーマンスを引き出すためでもあります。現在使用しているものに代わる新しいスクリプトツールを開発しており、これは大幅に機能が向上し、収録スピードやパフォーマンスに大きなインパクトをもたらすと考えています。 

ただ最終的には、チームメンバー一人ひとりにとって、より良い成長の道筋を整え、社内での成長機会をさらに広げていきたいと考えています。そして、品質の高さと、クライアントとの卓越したコラボレーションにおける私たちの評価を、さらに確かなものにしていきたいと考えています。  

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