Side Taipei スタジオヘッドの Frank Chang。
ゲームデザイン、制作、ローカライズ分野において数々の有名タイトルで培った豊富な経験を活かして、ローカライズ、ローカライズ品質保証(LQA) 、品質保証サービス(QA)サービスを提供する戦略的な体制づくりをけん引しています。
今回はFrankに、リーダーとしての歩み、台北スタジオがSideのグローバルネットワークにもたらす独自の強み、そして「長く信頼されるスタジオをつくる」ために必要なことについて話を聞きました。

ゲーム業界で働きたいと思ったのはいつですか? また、業界でのキャリアを築くために最初に何をしましたか?
最初のきっかけは、初めて手にしたゲーム機のNintendo NESでした。小学生のとき、全教科で満点を取ったご褒美として買ってもらったのです。周りの家庭と同様、私の家でも学業と安定が重視されていたので、ゲームは将来性のあるキャリアとは見なされていませんでした。しかし、そのNESが私にまったく新しい世界を開いてくれました。創造性や世界観、システムの面白さに惹かれて、どんどんのめり込んでいきました。そして、その情熱は今も変わっていません。いまではSteamライブラリだけで3,500本以上のゲームを持っています。文字どおり、私はゲームとともに生きているんです。
業界への第一歩は、ゲームデザイナーとしてオファーを受けたときでした。そこからシニアゲームデザイナー、プロデューサー、開発ディレクターなどさまざまな役割を経験しました。
その後、Blizzardでゲームローカライズを支援する機会があり、これまでのゲーム知識と言語スキルを活かすことができました。『StarCraft II』『World of Warcraft』『Hearthstone』を含む複数タイトルでは、繁体字中国語のボイスオーバーを3万行以上監修しました。
上位のマネジメントへとキャリアが進むにつれ、私はチーム構築と組織構造に強い情熱を注ぐようになりました。街づくりゲームや基地づくりゲームのように、成長し続ける仕組みを形にしていくことに大きなやりがいを感じるのです。チームの成長を見届けられることに最もやりがいを感じます。

スタジオヘッドになる前に知っておけば良かったと思うことを一つ挙げるとしたら何ですか?
すべてにおいて完璧である必要はないということです。リーダーシップとは個人の万能さではなく、メンバーの力を引き出し、才能が最大限発揮される環境をつくることです。私の役目は、すべてを自分で抱え込むことではなく、チームや仕組みが自立して機能し、継続的に成長できるようにシステムそのものを整え続けることなのです。
Side台北スタジオならではの強みはなんですか?
台北はまさに東洋と西洋の交差点のような場所です。チームの基盤は繁体字中国語の言語と文化にありますが、日常の中には日本のアニメ・マンガ、韓国のポップカルチャーやドラマ、そしてアメリカの映画・テレビ・ゲーム・ヒーロー作品が当たり前のように存在しています。こうした多様な影響が、多言語への理解と、グローバルな視点、そして市場ごとのプレイヤー感覚を自然と身につけた人材を育てています。
これらが組み合わさることで、グローバル思考を持ち、あらゆる業務に文化的なニュアンスをもたらす人材が自然と育まれています。私たちのチームは単なるサービス拠点ではなく、サポートするあらゆるプロジェクトの価値を向上させる戦略的パートナーへと進化しています。

スタジオの拡張を経て、いまSide Taipeiはとても勢いがあります。今後、台北スタジオにどんな成長を期待していますか?
私は台北スタジオを、Sideの中でも特にスケール性が高く、戦略的に重要な拠点へと育てていきたいと考えています。そのために、持続性・継続性・透明性という3つの基盤づくりに注力しています。
私たちのスタジオは、安定したプロセスやサポート体制、そして誰かが不在でも滞りなく業務が回るカルチャーの上に成り立っています。必要なときには互いにサポートし合い、中断することなく前へ進むことができます。明確なワークフローとコミュニケーションがあることで、Sideのグローバルチームやパートナーともスムーズに連携することができています。
現在の事業分野を強化することに加えて、これまでのゲーム開発やオーディオでの経験を活かして、台北スタジオとして新たなサービス領域にも挑戦していきたいと考えています。
プロトタイピングのような分野に取り組むこともできますし、すでに得意としている領域の安定性と幅をさらに広げていくことも可能です。台北には、そのための人材と文化的な強みが揃っています。

これまで業界で働いてきた中で、最も大きな変化や課題だと感じたものは何ですか?
ここ数年で最も大きな課題は、AIツールの急速な発展に、チームがどう適応していくかという点ですね。変化のスピードがあまりにも速く、新しい技術を制作環境にどのように安全に取り入れるべきか、すぐには判断できないこともあります。
私が重点を置いているのは、AIが優れた判断力に置き換わるのではなく、Sideの人材をサポートできる存在にすることです。そのために、学びや議論の場をつくり、丁寧にコーチングする時間を確保しています。追いつかないといけないというプレッシャーを感じるのではなく、サポートされていると感じられる環境がある方が、チームは安心して試行錯誤できますし、仕事の質を高める形でツールを活用できるようになります。もちろん、常にコンプライアンスを守りながら。
もし無人島に取り残されて、ゲーム環境をひとつ、ゲームソフトを1本だけ持っていけるとしたら?
PC、マウス、キーボード、そして何度でも遊べる奥深いゲームを選びます。戦略的で、時間をかけて成果が上がるような作品がいいですね。おそらく『Anno』シリーズか、『三國志』、『Civilization』シリーズでしょう。どれも、プレイを重ねるほど戦い方が洗練され、どんどん良い結果を狙えるようになります。